

小布施は北信濃に位置する人口1万2000人の町ですが、年間120万人もの観光客が訪れます。人口の100倍の人々がなぜ、この小さな町に足を運ぶのか。それは小布施の町並みが、土蔵や土壁、茅葺き民家など、昔ながらの風情を残す豊かな空間だからでしょう。
その空間を支えているのが、江戸時代のはるか以前から、この土地に伝えられてきた職人技術です。100年以上の時を経ても、びくともしない土蔵。茅葺き屋根の下にのぞく、堂々たる木組みの梁。日本の職人技術は、本当に世界に誇れるものだと思います。
しかし、残念ながら当の小布施でも、その伝統技術は先細りの道をたどっています。職人の仕事を見ると、そこには持続可能性、地域循環、自然素材、大地にやさしい暮らし……と、いくらでも今のキーワードに結び付けられるのに。
戦前までは、職人とは設計者の役割も担う人のことでした。手を動かす人が、そのままプロジェクト全体の設計者だったのです。でも、戦後は、設計者は設計者、職人は職人と、職能がふたつに分かれてしまいました。日本の伝統とつながる人が、新しい動きとつながらなくなってしまったのです。
(株)修景事業は、それをもういちど、ひとつにつなげたい。昔できたことを、今もできるようにしたい。取り壊される運命にある古民家があれば、それを修復したり、移築したりして再生する。茅の屋根だって葺きますし、瓦も地元の土を使い、自分たちで焼きます。そうやって手をかけた建物が、新しい価値を生み出し、豊かな町並みを作って人々の心と経済を支えていく。
古い=不便、我慢、ではないのです。人の知恵を生かした技術は楽しい。楽しいからこそ、私たちも手を動かしながら、次の世代に伝えていくつもりです。

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